創業・新規開業をお考えの方へ

私自身も独立開業した一人です。

現在はお客様に恵まれ、まだ規模はお世辞にも大きいとは言えませんが、ようやく安定してこのお仕事をさせていただくまでになりました。
しかし開業当初は前途多難で、今から振り返ってみると、よくここまでやってこられたな、と思うことがあります。

私が開業したのは、平成18年8月で、実のところ私は、当時税理士資格を持っておりませんでした。税理士資格を持っていたのは妻でしたので、私ではなく妻が開業したと言うべきなのでしょう。お恥ずかしいことに私が税理士資格を取得したのは8年後の平成26年で、その時に税理士法人として再スタート致しました。

平成18年の開業当初、妻は独立することに消極的でした。
のれん分け等で事業を誰からも引き継ぐこともなく、まったくのゼロからのスタートでしたので、妻が消極的になるのも無理はないと思います。（最初は消極的であった妻も、今では家事や育児に奮闘しながらも私の大きな支えとなって仕事をしております。）

私も不安はありましたが、それ以上の希望を持っていました。きっとうまくいく、なぜかその時はそう思うことができました。
ゼロからのスタートなので、まずは集客です。どうすればよいか…、とにかくがむしゃらに飛び込み営業をするのか、ホームページを作ってみるのか、DMをできる限りばらまいてみるのか…。
色々試行錯誤しました。飛び込み営業、HP作成、DM配布…全部やりました。でも、結果はどれもうまくいきませんでした。
今まで営業もろくにやったこともないのに飛び込み営業をし、作ったこともないHPを自力で作成、ターゲットが明確でないDM。うまくいかないのは当たり前でした。

うまくいかないのはわかるのですが、では、具体的にどうすればいいのか？
全くわかりません。

開業の為に貯めていた資金も徐々に少なくなり始め、先行きが不安になり、生活費を切り詰める日々がしばらく続きました。

とある日、私が昔からお世話になっていた方へ相談する機会があり、当時配布していたDMを見てもらったのですが、「これじゃ顧問料高くない？お客さんは決算をしてほしいと思っているはずだから、顧問料よりも決算料をもらったほうがいいんじゃないの？」とご意見を頂きました。
私の中では、「税理士は月顧問料3万円からが相場」という固定観念があったため、どうもピンと来ず納得がいきませんでした。
DMは顧問料を3万円とし、代わりに決算料を無料にしていたので、安いじゃないか、と。
しかし、仮に開業したばかりの自分がもし3万円毎月負担するとなれば、どうなるんだろう？
開業したてで軌道に乗る前の経営者にとっては、大きな痛手になることは間違いありません。
しかし自分自身が税理士業であるがゆえに、お客様の立場で物事を考えることができていなかったのです。
「顧問料高くない？お客さんは決算をしてほしいんだよ」というアドバイスがどれだけ重要なものであったか、数日後になってようやく気付きました。

でも、値段を下げるとやっていけない。どうすればよいか・・・

悩んだ結果、一つの方法を思いつきました。
それは、「値段を下げる代わりに、お客様にも仕事をしてもらう」ということでした。
「仕事をしてもらう」というのはどういったことかといえば、お客様に記帳してもらうということです。
これはいわゆる「自計化」と言われる方法で、当時は税理士側で記帳代行するのが一般的であったため、現在ほど自計化は浸透しておらず、ある意味画期的なものであったと思います。

この方法で値段を見直し、自計化を条件に「月顧問料を1万円～決算料を6万円～」をキャッチフレーズに再度DMを作成し直しました。
さらにターゲットを設立したばかりの法人様に絞り、その情報を取得するため毎日のように法務局に通いました。
この方法でDMを発送したところ、見違えるほど反響が大きくなり、今まで1カ月に問い合わせが1件あれば良いところだったものが、多い時は1カ月5件以上の問い合わせがあり、しかもそのほとんどについて契約していただき、仕事が一気に増えました。

現在は自計化も浸透し、税理士業界は価格競争が当たり前になってきました。
違う方法で集客することに迫られ、新たな局面を迎えております。

これから創業・新規開業される方へ

経営者として私自身の経験を踏まえ、アドバイスするというのはおこがましい話ではあります。
しかしながら、私自身、一人で税理士事務所の立ち上げからやってきましたので、その経験が財産となり、現在の業務に活かされております。
また、お客様の立場を考えて商売をすることがいかに大切かということをこの身をもって実感しております。
もし、ご縁があって顧問させていただく事がありましたら、税金のことばかりではなく、私の実体験も含めきっとお役にたてるアドバイスができるのではないかと存じます。

もちろん私のお客様になる方ばかりではなく、開業される全ての皆様を同じ「仲間」として、心より応援致します。お互い、頑張りましょう！

税理士法人アンビション
藤田　憲一